「ねぇ クロア・・・ガイたちの誘い、どうするの?」
「迷ってる・・・。フェズは、どう思ってる?」
「僕?僕は・・・クロアと同じで迷ってるよ。
 でも、クロアが決めたならそれに従うつもり。」
クロアは困る。
「オレまかせか・・・ま、よく考えてみるよ。」
「うん。でも、1人で悩んじゃだめだからね。」
クロアが微笑む。
「おう、サンキュ。」
窓から、きれいな夕日が見える。
「お・・・きれいな夕日だ。」
「ホントだぁ。クロアと見られて幸せぇ♪」
「あはは。こんの 幸せモンがぁっ!」
「へへー★」
2人は楽しく会話をした。
露天風呂に入り、夕食をとる。
昼間たくさん歩いたので、早めに寝ることにした。
「今日はつかれたねー。」
「そうだな。結構歩いたからなぁ。」
「うんうん。それじゃ、電気消すね。おやすみ、クロア!」
「おやすみ、フェズ。」
電気を消しても、窓から差し込む月明かりで、部屋は明るかった。
「(フェズ・・・もうねてる)」
フェズの寝息だけが聞こえる。
クロアは、眠れずにいた。
「(どうするかな・・・。ガイたちと歌えば、新しい歌が歌える。
 でも、2人の旅だしなぁ。
 んー・・・人を元気にするには、入る 入らない 関係ねぇからな・・・」
クロアは、考えて考えて、決断した。


「(寝る・・・)」


次の朝、クロアは目を覚ます。
明るい日差しがまぶしい。
「ん・・・」
フェズも目を覚ます。
「おはよう」
と、クロアが言う。
「ぐんもーにー」
と、フェズ。
「よく眠れたのか?」
「うん、ばっちり元気だよ。クロアは?」
「オレもだ。(ほんとは違うが・・・)」
顔を洗い、身だしなみを整える。
「今日の僕ってかぁっこい〜♪」
「いつもそうなんだろ?」
「へへ・・・ばれたか。」
「そして2人は、宿にある喫茶店で朝食をとる。
トースト、オムレツ、サラダに甘いミルクティーだ。
食べ終わり、公園へ向かった。
朝の新鮮な空気と光は、樹の中では特にきもちよかった。
昨日のベンチまで、歌をうたいながら行った。
ベンチには、3人がいた。
『おはよう』
と、2人がいうと、
『おはよ』
と3人が返す。
「考えてくれたか?」
ガイが言った。
「あぁ。」
と、クロアが言う。
「オレたちは、2人で旅をしてる。
 歌で、人を元気にするための、な。
 それと同時に、自分たちの過去も知りたいと思ってるんだ。」
「過去・・・ですか?」
それから、覚えていない全て ・・・を話した。
「――だから、一緒に歌い続けることはできない。」
ルイは、何かに気づいたように、
「・・・続ける?」
と聞き返す。
「あぁ・・・そうだ。旅は続けるが、ときどきこの町へ戻ってこようと思う。
 そのといに、一緒に歌ってほしいんだ」
ガイが答える。
「マジか?それだけでも、俺はかなり嬉しい。
 3人でもっとうれて、2人が戻ってくるときにはライヴ開いてやるよ!」
「うん」
「はい」
3人は顔を見合わせて、頷く。
「約束だよ?」
フェズが小指を出す。
「あぁ、約束だ。」
5人は小指をあわせ、とびっきりの笑顔をみせる。
そこに、クロアが質問する。
「ガイたちが聴かせてくれた曲に、オレらが歌詞つけて歌っていいか?」
ガイは不思議そうにたずねる。
「いいけど・・・昨日歌詞考えてきてくれたのか?」
それに、フェズが答えた。
「はずれーっ。僕たちは、自然に口から歌を生み出せるんだよ!ね、クロア?」
「あぁ!」
5人は顔を見合わせる。
クロアとフェズのかけごえがかかる。
『YO!』
それとともに、音が響き始めた。


『We are Lucky!(Yeah!)
 We are Happy!(Yeah!)
   出逢って変わる
 何かが変わる 僕等のめぐり逢いさ

 悲しいとか 寂しいとか そんな顔は
 僕等の前では Taboo Taboo
 音と声との Mixtureで
 たちまちみんな 笑顔になれ!(YO!)
 We are Lucky!(Yeah!)
 We are Happy!(Yeah!)
 大切なことは 笑ってすごす
 みんなとの毎日なんだ
 Let's go forward!(Yeah!)
 Let's go forward!(Yeah!)
 僕等の先には いつでも見えてる
 果てしなく 続く道が
 Do it your way ――』

余韻を残して音が止まる。
5人とも、笑顔だった。
ガイが言う。
「いい声に詞だった・・・ありがとう。」
「本当に、いい歌だったわ・・・」
「ですね。ありがとうございました。」
クロアとフェズもお礼を言う。
「楽しかったよ。いい演奏、サンキュ!」
「Thank you for nice parformance very much★」
「かっこよく英語使ってんのな」
「実は頭よくて」
そして、さらに笑い声が広がる。
5人の出会いは、いいものだった。
他にもたくさん歌を歌い、はやばやと時間は流れる。
「あ・・・もう夜になっちゃったよ。」
とルイが言った。
「そろそろホテルに戻らないと、クロア」
「そうだな・・・」
サラクがたずねる。
「出発は、いつされるんです?」
「明日の朝だよ」
「そうですか・・・残念です。」
ガイも、
「オレも残念だ。でも、出会いにはわかれがつきものなんだよ。」
「だよね・・・。あたしたちと歌ったこと、忘れちゃだめだからね!」
『もち』
声をそろえて2人は言う。
「じゃ、またな」
「おう」
クロアとフェズは、宿へと向かった。
「断ったんだね、クロア。」
フェズが言った。
「あぁ。これで、よかったよな?」
「いいんじゃない?クロアが決めたことだし。」
「そっか、よかった。明日は早めにここ出よーぜ。
 気持ちよくさよならしたい。」
フェズが微笑む。
「そうだね、僕もそうしたい。じゃ・・・おやすみ、クロア」
「おやすみ、フェズ。」
今宵はよく眠れそうだ・・・

そして、2人は目を覚ました。
「おはよ」
「ぐんもーにー」
身支度をした2人は、宿の外へと出た。
すがすがしい朝だ。
・・・と、そこには3人の男女がいる。
ガイとルイとサラクだった。
「はよーさん。」
「おはぁ〜〜〜」
「おはようございます。」
クロアとフェズはかたまってしまった。
「何で・・・いるんだよ」
「びーっくりぃー」
するとルイが、少しふくれる。
「見送りくらい、させてくれたっていいじゃなぁい」
「そうだけどさ・・・びっくりするだろ、フツーw」
フェズがひそひそ声で、
「ルイ・・・クロアってば、照れ隠しだよ。
 本当はすっごく嬉しいくせに」
クロアの声が少し赤くなる。
「今なんていったんだよ!」
フェズが少し逃げながら、
「ひーみーつー♪」
「こらぁーっ!」
追いかけっこをしている。
「朝から元気な子たちですね。」
「まったくだよ・・・まぁ、おもしれーけどな。」
「だねぃ。見ててあきない・・・」
3人に見られていることに気づき、フェズよりも大人なクロアは
たちどまり、顔をあかくする。
「まぁ、なんだ・・・嬉しくないわけじゃな・・・」
バシッ!
フェズがたたく。
「照れずに本音言えっ!」
クロアは頭をかかえながら、
「サ・・・サンキュ」
5人は顔を見合わせ、一斉に笑い出した。
フェズも、お礼を言った。
「ありがとね」
3人は何も言わず、ただにっこりと笑って返した。
クロアが、
「また手紙送るよ」
という。
「あぁ、待ってる。」
「また、帰ってきてくださいね。」
「一緒に歌おーねー♪」
離れていようとも、心はつながっている。
一緒にいた時間など、今の彼等には関係なかった。
澄み切きった景色の中で、彼等は別れる。
かけごえとともに・・・
『YO!』
・・・・・





















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